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サノクミ先生の“法”言エッセイ 法LAW記 弁護士 佐野久美子

遺言あれこれⅡ

前回、遺言の種類と方式について、どのようなものがあるかということについてだけ述べましたので、今回は、その内容について、お話ししましょう。

前回は、遺言の方式には、普通方式と特別方式があり、普通方式(民法967条~)には、(1)自筆証書遺言 (2)公正証書遺言 (3)秘密証書遺言の三つの方式、特別方式(民法976条~)には、(1)死亡危急時遺言 (2)船舶遭難者危急時遺言 (3)伝染病隔離者遺言 (4)在船者遺言があるということだけを書きましたが、今回から具体的な作成方法に入ります。まずは、普通方式からです。

1.普通方式遺言の第一は、自筆証書遺言(民法964条)です。

余り説明するまでもありませんが、遺言者自らが遺言の内容を記載し、日付と氏名を自書する方式の遺言です。この方式の利点は、遺言者が一人だけで作成するものですから、他人に知られることなく秘 密が保たれること、手軽で簡単であることなどです。しかし、日付を書かなかったりしますと、無効ですし、勘違いや誤記があっても、自分では気付かないということもあって、安全確実とは必ずしも言えません。

とは言っても、自分で書きたいと思うのも自然なことですから、自筆証書遺言が遺言として必要な要件を説明します。

  1. 内容をすべて自分で書く。
  2. 日付を必ず自書する(日付のない遺言は無効ですから注意!)。但し、「2010年6月吉日」では日の特定ができませんので、無効です。
  3. 署名・押印する。押印は実印でも認印でもかまいませんが、必ず押さなければなりません。
  4. なお、遺言の字句を訂正する際には、訂正箇所を指示し、変更したことを付記して署名し、変更箇所に押印しなければなりません。訂正するのに厳格な方式が定められる理由はご理解頂けるでしょう。

以上が自筆証書遺言の必要事項ですが、遺言書自体を封書に入れて封をしておかなければならないという訳ではありません。ただ、人に見られないように、とか、書き換えられたりしないように、という意味では、封書に入れ、封をしておく方がよいでしょう。また、その保管は厳重に、しかし、必ず見つけてもらえるような場所にしないといけません。よく聞くのは、「私が死んだら○○を見なさい。」と、相続人の誰かに伝えておくというのが多いようです。

自筆証書遺言は、後に述べますが、家庭裁判所での検認手続が必要ですので、封書に入れている場合は、その封書の裏側にでも、家庭裁判所に提出すべきことを明記しておく方がよいでしょう。

2.次に、公正証書遺言(民法969条、969条の2)のことを説明しましょう。

公正証書遺言は、遺言者と証人(2名以上)の面前で、公証人が作成してくれる遺言です。

公正証書遺言は、証人や公証人がその内容を知っているわけですから、全くの秘密というわけではありませんし、公証役場に行かなければならないとか、証人をお願いしなければならないなど、面倒だという気持ちになるかもしれません。しかし、法律の専門家である公証人が作成してくれる遺言ですから、法的なチェックをしてもらえますので、安全確実な遺言書といえるでしょう。

さらに、公正証書遺言は、裁判所の検認手続を経る必要もありませんから、遺言の内容を迅速に実現できるという利点もあります。

公正証書遺言の具体的な作成手続きについては、次回にしましょう。

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