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よくあるご質問

知的財産の相談

Q1.

農産物の加工を行う事業者です。「地理的表示」が保護されるようになると聞きましたが、「地理的表示」とはどのような制度ですか?

A.

「地理的表示」とは、2014年6月に成立した「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律※1」によって保護されることになった「農林水産物・食品等※2」の名称であって、その名称から当該産品の品質等の特性が産地と結びついているということを特定できるものをいいます。

農山漁村地域では、長年培われた特別の生産方法などにより、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在しますが、これまでその価値を有する産品の品質を評価し、地域共有の知的財産として保護する制度がなかったため、地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物・食品のうち、品質等の特性が産地と結び付いており、その結び付きを特定できるような名称が付されているものについて、その名称を「地理的表示」として国に登録し、知的財産として保護する制度が創設されたのです。

「地理的表示」は、具体的には、「地名+産品名」で構成されます。単に「地名と産品名」を並べただけではダメで、その産品の品質等が産地と結びついていることが条件となります。 保護を受けるためには、農林水産省に「地理的表示」と「産品の産地に結びついた品質等の特性」とを合わせて申請し、登録を受けます。 なお、酒類、医薬品等は、登録の対象とはなりません。

※1 地理的表示法(略称)
※2 特定農林水産物

Q2.

「地理的表示」は、「農林水産物・食品等の名称から当該産品の産地と結びついているということを特定できるもの」とのことですが、例をあげて説明してください。

A.

たとえば「鹿児島黒酢」は、「主成分の酢酸のほかに多種類の有機酸を含み、特有の香りまろやかな酸味を有する」ことや「熟成期間に応じて、黄〜こはく色を呈する」という産品の特徴を有しており、これが「鹿児島の、微生物の活動に適した寒暖差が少ない温暖な気候、米・麹・水のみを薩摩焼の壺に入れ、1年以上の発酵・熟成工程が屋外に置いた同一の壷の中で自然に進行する、江戸時代後期からの伝統的な製法」という「地域との結びつき」が認められるものとなっています。

海外では、イタリアのパルマ地方の豚モモ肉と塩のみを原料とした生ハムについて「プロシュート・ディ・パルマ」の地理的表示が使用されていることは有名です。「アペニン山脈から丘陵に吹くそよ風が空気を乾燥させ、伝統的な製法で、何世紀にもわたり、生ハムの製造を可能にしてきた。」という地域との結びつきが認められるものです。

Q3.

「地名+産品名」という構成でありながら、「産品名」と「地域との結びつき」が認められないものには、どんなものがありますか?

A.

たとえば「小松菜」はアブラナ科の野菜ですが、この名称は東京都江戸川区の小松川に由来しています。ところが現在では、小松菜は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県等で全国の約8割が生産され、福岡県、大阪府でも生産されており、たとえ地名を含んでいたとしても「地域との結びつきの乏しい産品の普通名称」であるときは、「地理的表示」として登録できません。
「さつまいも」(薩摩芋)も同様の理由により登録できないと考えられます。

Q4.

「地名+産品名」というと、特許庁の「地域団体商標」が連想されます。地域団体商標の「神戸ビーフ」「市田柿」や通常商標の「夕張メロン」等について、農林水産省の「地理的表示」にも登録申請がなされたと報道がありました。 「地理的表示」と「商標」では、どのように違うのでしょうか?

A.

「地名の名称+商品又はサービスの普通名称等」は、特許庁に地域団体商標として登録することができます。(一定の条件を満たせば、地域団体商標ではなく通常商標として登録することもできます。)
一方、農林水産省に登録する「地理的表示」は、「地名+産品名」ですので、よく似た印象がありますが、実際には以下のように多くの相違点があります。
農林水産物等の名称は、「地理的表示」「地域団体商標」「通常商標」のいずれか、又は重複して登録することもできます。申請に当たっては、その目的に応じて適切な登録方法を選択することが重要です。

地理的表示 地域団体商標 通常商標
対 象 農林水産物、飲食料品等
(酒類等を除く)
全ての商品・サービス
申請主体 生産・加工業者の団体(法人格のない団体も含む) 事業協同組合、商工会・商工会議所、NPO等 法人又は自然人
産地との関係 品質等の特性が当該地域と結びついている必要 当該地域で生産されていれば足りる 業務を行っていれば足りる。
伝統性・周知性 概ね25年以上継続生産されていること(伝統性) 一定の需要者に知られている必要(周知性) 問われない。
品質基準 産地と結びついた品質の基準を定め、登録・公開する必要 制度上の規定はなく、権利者が任意で対応
品質管理 生産・加工事業者が品質を管理し、国が定期的にチェック 制度上の規定はなく、権利者が任意で対応
登録の明示 GIマークを付す必要 登録商標表示を付すよう努める
規制手段 不正使用は国が取締る 不正使用は商標権者自らが対応(差止請求等)
権利付与 権利ではなく地域共有の財産。他の生産者も登録可 名称を独占して使用する権利を取得
保護期間 取り消されない限り存続(費用は最初の登録免許税) 登録から10年間。(登録料が必要。)
更新登録可能(更新登録料が必要。)
海外での保護 地理的表示保護制度を持つ国との間で相互保護が可能(将来) 各国に個別に登録

Q5.

「地理的表示」の登録には、どのようなメリットがありますか?

A.

地理的表示の登録を行うメリットとしては以下の点が挙げられます。

  1. 産品の品質について国が「お墨付き」を与える。
    「地理的表示」を生産地や品質等の基準とともに登録するものであり、その産品の生産工程が適正に管理されているかどうかを国に毎年報告することによって、「地理的表示」を付した産品の品質を担保します。
  2. 品質を守るものだけが市場に流通する。
    GIマーク※により他の産品との差別化が図られる。基準を満たしたものに「地理的表示」の使用を認め、あわせて「GIマーク」を付すこととしています。
    ※「GIマーク」:登録された真正な地理的表示産品であることを証するもの。
    登録標章「GIマーク」
  3. 訴訟等の負担がなく、自分たちのブランドを守ることが可能。
    基準を満たしていない産品に地理的表示を付すといった不正な地理的表示を使用する者に対して、国が取り締まるので、生産・加工業者の団体の負担が軽減されます。
  4. 地域共有の財産として、地域の生産者全体が使用可能
    生産・加工業者の団体を登録申請人とし、その団体には「加入の自由」を定めることが求められます。地理的表示を使用しようとする者に対して、正当な理由なく加入を拒んだり、困難な条件を付してはならないとされていますので、文字通り地域共有の財産として使用することとなります。また、他の生産者等の団体が、同じ基準を満たして、同じ「地理的表示」を申請し、後から登録を受けることも可能です。
    「地域ブランド」を育成するために、広く門戸を開いているのです。

Q6.

「地理的表示」の登録を希望する場合、誰に相談したらよいですか?

A.

地理的表示の登録制度は、平成27年6月1日から施行されています。農林水産省への登録手続は、行政書士が専門に取り扱っています。
地理的表示登録申請には、申請する団体の定款等の作成、申請書、事業者毎に明細書や生産工程管理業務規程等が必要です。また、登録商標との調整が必要になる場合があります。
農林水産物や食品について「地理的表示」の登録を希望される場合や、「地域ブランド化」を望まれる場合は、知的財産業務を専門とする行政書士にご相談下さい。

Q7.

植物の新品種の開発に成功しました。新品種の登録をする制度はあるのでしょうか?

A.

農林水産省に新品種の登録ができる制度があります。新しい品種であるのか、新品種が安定的継続的に栽培可能であるのか等の要件が審査され、登録されたときには、独占的な権利が与えられます。これを「育成者権」といいます。

行政書士は、植物の新品種についての農林水産省へ代理手続を行っています。なお、この手続は行政書士の独占業務となっています。

Q8.

通常実施権の当然対抗制度とは何ですか?

A.

2012年4月1日施行の改正特許法によって、特許権、実用新案権、意匠権に係る通常実施権について、新たに当然対抗制度が導入されました。それ以前は、特許原簿等への通常実施権の登録が第三者対抗要件でしたが、当然対抗制度により通常実施権の登録をしなくても第三者に対抗できるようになりました。

イメージしやすいように、事例を挙げて説明します。2012年3月31日以前は、ある他人の特許権を実施したい人が、その実施の許諾を特許権者に求め、これを特許権者が承諾した場合は、特許権者(ライセンサー)と通常実施権者(ライセンシー)の間の契約が有効に成立し、合意した事項を正しく履行していれば、ライセンシーは、安心してその特許を実施できるはずでした。

そこでライセンシーは、特許庁への通常実施権の登録制度があることは知っていたが、通常実施権の許諾自体は契約により成立しているので、面倒だし費用もかかる登録をしなかった場合、特許権者が何らかの理由により、その特許権を第三者に譲渡してしまうと、新たな特許権者は、特許原簿に通常実施権の登録をしていないライセンシーに差止請求、損害賠償請求をすることができたのです。しかし、ライセンシーが通常実施権の登録をしていれば、新しい特許権者に対抗することができました。つまり、第三者対抗要件としての通常実施権登録制度が存在したのです。

しかし、改正特許法により2012年4月1日から、その登録が必要でなくなりました。通常実施権の登録をしなくても第三者に対抗できるようになったので、これを当然対抗制度と呼びます。ライセンシーの負担軽減につながる法改正でした。

なお、商標権の通常使用権には、当然対抗制度は適用されません。従来通り、商標登録原簿への通常使用権の登録が第三者対抗要件となります。

(参考)
通常実施権のライセンス契約においては、特許庁への通常使用権の登録申請について定める必要はなくなりましたが、登録制度がなくなったことにより新たな問題が指摘されています。
それは、第三者に特許権が譲渡されたときに、ライセンサーの地位も譲渡されるのかという点が法的に明確にされていないことです。具体的には、以下の3つに代表されるケースが考えられます。

  1. 特許権の譲渡とともに、ライセンサーの地位も承継される。
  2. 特許権の譲渡によっても、ライセンサーの地位は承継されない。新たな特許権者(譲受人)は、不作為義務を負うのみである。
  3. 特許権の譲渡によっても、ライセンサーの地位のすべては承継されない。実施料の請求と受取等といった合理的なもののみが承継される。

ライセンス契約においては、上記のケースを参考にして、当事者間で具体的に検討して、契約書面において、明確に取り決めることが重要です。

Q9.

特許権の譲渡を受けました。特許庁に登録申請しなければならないものなのでしょうか?

A.

特許権を第三者に移転したときは、移転の事実を特許庁に登録しないと効力が発生しません。
特許権のほか、実用新案権、意匠権、商標権についても同様です。
行政書士は、上記の権利移転について特許庁への移転登録申請の代理手続を行っています。

Q10.

新商品の開発を行いました。その商品の名称(ブランド)として、業界でよく知られた大手企業の商品と近似したネーミングで商品販売しようと思います。そのほうが売れると思いますが、何か気をつける点がありますか?

A.

有名なブランドと近似したネーミングの商標を採択すると、当該有名ブランド商品との営業主体の混同が生じる可能性があります。そのようなとき不正競争防止法により差止請求・損害賠償請求の対象となったり、刑事罰が課されるおそれがあります。有名ブランドにすりよるネーミングは長期的に見ても何らメリットはありません。よい品質で喜ばれる商品を提供するのであれば、他人の商標と類似しない商標を採択し、その商標に顧客からの信用が蓄積するような努力をすることが重要です。
また、有名なブランドは殆どの場合商標登録しており、その登録商標に新商品の商標が類似するときは、商標権侵害となるおそれもあり、当該事業を推進できないばかりでなく、民事上刑事上で責任を問われるおそれがあります。

Q11.

特許は大発明、実用新案は小発明と聞きましたが、ライセンスを受けるときに特に重要な留意点がありますか?

A.

現在の法制度の下では、実用新案権は無審査で登録されるため、登録番号が付されていたとしても、特許のように強力な独占排他権を特許庁が認めたものではなく、権利行使に当たっては制限が課されています。そこで実用新案権についてご説明します。

特許権の場合は、特許庁審査官により新規性進歩性等の特許の要件が審査されていることが前提となりますが、実用新案権は無審査で登録されるため、新規性進歩性等の要件を満たさない実用新案登録出願があったときでも、方式要件を満たしていれば登録されてしまいます。そこで、実用新案権が認められた権利は、玉石混交状態であるということができます。
実用新案権を保有しているとする権利者から権利譲渡の申出、実施許諾などのライセンスの申出があったときには、注意が必要です。
登録されている実用新案権が、実効性のある権利(独占実施しうる内容)かどうかを確認したいときには、その実用新案権につき実用新案技術評価書を特許庁に請求することができます。これは実用新案権を保有する権利者でなくても請求できますので、実用新案技術評価書を得て、国内で独占実施しうる権利かどうかを確認することができます。ただし、実用新案技術評価書は、刊行物記載に基づく新規性と進歩性を判断するものであり、公知・公用についての評価がされないことに留意しなければなりません。
実質的な権利のない実用新案権の譲渡や実施許諾にはご注意ください。
ライセンス契約の事実を登録することでライセンシーはどのようなメリットがあるのかについてですが、ライセンサー(許諾者)が権利を譲渡したときでも、新たな権利者に対して、ライセンシーが対抗要件を主張できることがメリットとなります。
なお、行政書士は、実施・使用の許諾を受けた方(ライセンシ−)の権利を保護するための専用実施権・通常実施権・専用使用権・通常使用権の登録申請を特許庁に対して代理手続を行います。

Q12.

「産業財産権」とは何ですか?

A.

特許権・実用新案権・意匠権・商標権をまとめて「産業財産権」と呼びます。産業財産権法という固有の法律はありません。それぞれの法律(特許権・商標権等)の総称を産業財産権法と呼びます。かつて産業財産権を「工業所有権」と呼んでいた時期もありましたが、現在では「産業財産権」という名称が一般的です。財務諸表の勘定科目においても「産業財産権」の名称が使用される場合もあります。

Q13.

「知的財産権」とは何ですか?

A.

著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、育成者権(植物新品種の育成者に付与される権利)、半導体回路配置利用権など、人間の幅広い知的創作活動の成果を法律で権利として保護するようにしたものを、まとめて「知的財産権」と呼んでいます。

Q14.

「知的資産経営報告書」作成支援以外に行政書士が関与する「知的資産関連業務」にはどのようなものがありますか?

A.

  • 企業価値の創造支援その他知的資産経営コンサルティング
  • 有用な技術情報・業務手順の文書化及び秘密管理、社員教育サポ−ト
  • 特許規程・職務発明規程、著作権規程、営業秘密管理規程等作成
  • 研究開発・実用化開発・事業開発のための事業計画書作成
  • 知的財産権譲渡契約書、知財ライセンス契約書、商品化権契約書、共同開発契約書、秘密保持契約書、業務提携・販売提携契約書、フランチャイズ契約書等
  • 著作権登録申請代理(著作権譲渡の登録、第一公表日・発行日登録、実名登録、プログラムの創作年月日登録等)
  • 産業財産権に係る移転、表示変更登録申請代理
  • 特許・実用新案・意匠権に係る専用実施権登録、商標権に係る専用・通常使用権登録申請代理
  • 電子公証を利用した先発明・先使用の証明、ノウハウの秘密管理等
  • 植物新品種登録申請代理(品種登録、移転登録、利用権登録等)
  • 半導体回路配置利用権登録申請代理
  • 知的財産権に関連する警告書・通知書等(内容証明嘱託代理含む)

 

Q15.

「知的資産経営報告書」を当該中小企業が自ら作成する場合と行政書士等の作成支援者に協力を依頼する場合とを比較したときに、どのような違いがありますか?

A.

本来、知的資産経営報告書は企業の知的資産経営の成果を開示するものですから、その企業自ら作成することが望ましいといえます。
しかし、行政書士等の外部専門家が、作成支援者として関与したときには、以下のようなメリットがあります。

  1. 経営者が気づかない知的資産の抽出
  2. 第三者の視点による客観性公平性の確保
  3. 文書化の専門家が提供する分かりやすさ
  4. 論理性、ストーリー性の確保
  5. 信頼性につながるKPIの掘り起こし
  6. 人的資産の構造資産化の支援
    (人的資産:個人の優れた能力等をいいますが、退職時には持ち出されます。)
    (構造資産又は組織資産:組織や会社に属する資産、退職しても会社に残ります。)
  7. 公開性と秘密性に関する提案
  8. 営業秘密保護に関する具体的提案
    (不正競争防止法による保護、公証制度の活用等)
  9. 今後の経営課題を明らかにし、検証・改善のご支援
  10. 共感を生む報告書、感動が伝わる報告書となるような工夫

 

※KPI(Key Performance Indicators):主要な業績評価の指標
販売、財務、サービス、技術等のレベルを示すための指標
処理時間、稼働率、業務の効率、品質を客観的に表現する数値化された指標等

Q16.

「知的資産経営報告書」とは、どのようなものですか?

A.

知的資産経営を開示するためのツールです。
経営理念、業務概要、沿革の他に無形の強みや魅力の内容、過去から現在までの知的資産を活用した活動内容、現在から未来に向けた知的資産を活用した事業計画が開示されることが多いです。また、強みや魅力を今後いかに伸ばすのか、経営課題の解決や克服にいかに取り組むか等も必要に応じて開示されます。

近年、政府の中小企業支援政策として「知的資産経営」の導入が積極的に推進され、「知的資産経営報告書」を作成し公表する企業が増えつつあります。しかし、まだ全国的に普及するまでには至っていません。今、知的資産経営報告書を開示している中小企業は、それだけ先進的・積極的な経営姿勢の企業として高く評価されています。

参考(経済産業省「知的資産経営ポータル」)
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html

Q17.

中小企業が知的資産経営を行う目的が、「中小企業の『無形の魅力、強み』を開示し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てること」であるならば、その効果やメリットは何ですか?

A.

以下のような経営の発展に役立つ効果・メリットが期待されます。

  1. 企業価値が外部から見えやすくなり、企業価値が高まる。
  2. 新たな販売先の獲得
  3. 技術力が評価され、開発依頼、業務提携の拡大
  4. 金融機関関係先の評価を得た資金調達の円滑化
  5. 経営理念の従業員への浸透、社員教育への活用
  6. リクルーティングへの活用(わかりやすい魅力と強みの開示)
  7. 事業承継への活用

Q18.

「知的資産」は、どの中小企業にもいくつかはありそうですね。そうすると「知的資産経営」は、どの中小企業も無意識に取り組んでいるということですか?

A.

Q1、Q2でご説明しましたように、少なくとも何らかの「知的資産」は、どの中小企業にもあるということができます。ところが、「知的資産」を保有する中小企業がすべて「知的資産経営」を行っているかといえば、必ずしもそうではありません。

まず、知的資産の存在を意識し、それを積極的に経営資源として活用することが必要です。そのためには知的資産を外部(ステークホルダー)に見える形にして開示します。

すなわち、知的資産を保有していても、「無形の魅力、強み」を何らかの形で活用し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てることができていないときには、知的資産経営を行っているということはできません。言い換えれば、知的資産をその企業の価値創造につなげているときに知的資産経営を実践しているということになります。

Q19.

「知的資産経営」とは、どういうものですか?

A.

「知的資産経営」とは、財務諸表(PL、BS等)には表れない「企業等の無形の魅力、強み(知的資産)」を把握し、利害関係者であるステークホルダー(取引先、金融機関、株主、顧客、従業員、就職希望者等)に見える形で開示、もしくはステークホルダー向けに活用し、ステークホルダーからの信頼を得て経営の発展に役立てる経営のことです。

企業、特に中小企業の競争力は、財務データのように表面に見えるものだけでなく、その会社が有している「無形の魅力、強み(知的資産)」が縁の下の力持ちのように支えていることが多いのです。
しかし、企業が有している知的資産のなかでも、権利化された知的財産権以外の知的資産は、外部からは見えにくく、内部からもその存在が意識されず、これを積極的に経営資源として活用しなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

そこで、そういう知的資産を積極的に外部に見える形にして、意識的に経営資源として活用する経営方法を「知的資産経営」と呼んでいます。
「知的資産経営」は、いまある「無形の魅力、強み(知的資産)」を意識し、活用するものですから、今日からでも取組むことができるものです。
ですから、「知的資産経営」は、特に中小企業に適した経営手法であるといえます。

Q20.

企業・団体・自治体等(以下「企業等」と表示)にとって「知的資産」とは何ですか?

A.

企業等の競争力の源泉となる「その企業等独自の魅力や強み(無形の資産)」をいいますが、具体的には、以下のものがあります。わかりやすいように3つに分けてご紹介していますが、3つすべてをまとめた概念が「知的資産」です

 

知的資産
経営理念、人材、技術力、品質のこだわり、商品・サービスのこだわり、ネットワークの強み、社員教育システム、仕入れの強み、販売チャネルの強み等

知的財産
発明・考案・著作物・新品種その他の知的創作、ブランドや商号に蓄積された信用、営業秘密、ビジネスモデル等

知的財産権(権利化されたもの)
産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、著作権、育成者権、半導体回路配置利用権等

Q21.

行政書士さんの中に「著作権相談員」がおられるそうですが、これはどういう方ですか?

A.

著作権相談員とは、日本行政書士会連合会が定めた講義カリキュラムに基づく「著作権相談員養成研修」を修了し、所定の試験に合格した者で、著作権相談員名簿に登載された者です。この名簿は、文化庁等に提出されます。
著作権相談員は、「著作権分野の契約・行政手続の専門家」として日本全国に4249名(平成22年2月現在)おり、著作権登録や契約書作成などの依頼・相談に応じております。

Q22.

当社の従業員を使って著作物を創作する場合、いわゆる「法人著作」と認められるための要件を教えてください。

A.

著作者になり得るのは,通常、実際の創作活動を行う個人ですが、法的には会社等が著作者となる場合があります。具体的には、次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り、会社等が著作者になります。

  1. 法人著作の要件法人等の使用者側の「発意」に基づき作成されること
  2. 法人等の業務に従事する者が創作すること
  3. 職務上の行為として創作されること
  4. 公表する場合に法人等の名義で公表されるものであること(但し、プログラムの著作物については、公表されない場合も多いため、この要件は不要とされています)
  5. 契約や就業規則に、「職員を著作者とする」という定めがないこと

※著作権法上の「法人」には、法人格を有しない社団・財団で代表者・管理者の定めがあるものも含まれます。

Q23.

当出版社は、死後30年を経過した小説家の著作物を出版したいのですが、誰と、どのような契約をすればよいでしょうか。

A.

著作権の原則的保護期間は、著作者の死後50年までですから、この小説家の著作物は著作権の保護期間中にあります。

貴社は、この小説家の相続人(原則として順序は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順)と出版許諾契約、出版権設定契約もしくは著作権譲渡の契約をする必要があります。出版権を独占的なものにしたい場合は、著作権者と出版権の設定契約を結び、存続期間、出版開始の時期、対価の額、支払方法、支払時期などを定め、文化庁に出版権設定登録申請を行うとよいでしょう。文化庁への著作権に関する登録申請については行政書士が申請代理手続を行っています。

著作権の譲渡の場合は、譲渡の範囲及び翻訳権、翻案権及び二次的著作物の利用に関する権利を契約内容に定めておいたらよいでしょう。

なお、著名な作家などの場合、遺族(相続人)以外の企業や団体に著作権が移転又は管理されている場合もありますので、ご留意下さい。

Q24.

著作権は、特許などの産業財産権と異なり登録によって権利が発生するものではなく、創作により自動的に生じるため、権利化のための登録は必要ないとのことでした。では文化庁への著作権の登録制度はどのようなものですか?

A.

著作権の譲渡があったときには、当事者間の契約の成立により譲渡は有効となりますが、第三者には対抗できません。譲渡により権利を得た事業者が、著作権の譲渡があったことを文化庁に登録することで、第三者対抗要件を確保できますし、知的財産権を登録番号で特定して管理することにもつながります。

また、第一発行日や公表日の登録申請を文化庁に対して行うこともあります。プログラムの著作物であれば、(財)ソフトウエア情報センターに創作日の登録を行うことも可能です。この登録により第一発行日や第一公表日、創作日(プログラム)、さらには著作者名も含めて、法的には正しいものとして推定されます。著作権をめぐって争いとなったときには、立証責任が軽減されるという利点があるため、将来の法務リスク軽減の観点から、著作権登録制度を活用するケースもみられます。

ペンネームで音楽などの著作物を公表したようなとき、文化庁に実名登録をすることにより、著作物の保護期間の終期が「公表から50年」から「死後50年」に延長されて保護されます。
その他、出版権の設定登録、質権設定登録などもあります。

文化庁への著作権に関する登録申請については行政書士が代理手続を行っています。
なお、この手続は行政書士の独占業務となっています。

Q25.

当社の商品のワンポイントマーク(図形:ここでは著作物とします。)を、あるデザイナーに依頼して、その対価を支払って商品に使用してきましたが、新しい商品にデザイナーから提供されたものとは異なる色でワンポイントマーク(図形)を使用したところ、そのデザイナーから、勝手に色を変えてもらってはこまると抗議がありました。デザインの対価を支払ったら、当社に著作権が自動的に移転するのではないですか?

A.

デザインの対価の支払が自動的に著作権の譲受を意味するとの解釈には無理があります。むしろ、具体的な著作権譲渡契約を締結しないときには、著作権は著作者に留保されているとみるのが一般的理解となっています。また著作権譲渡の契約を交わしたときでも、契約書又は譲渡証書中に「著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む。)を譲渡したことに相違ありません」のような文言を入れないときには、著作権の二次的利用の権利権、変形権・翻案権は譲渡されないことに留意する必要があります。今回のような変形・改変に関することで、トラブルを防止するためには、「著作権法第27条及び第28条の権利を含む。」の文言を含む形で著作権譲渡契約するとともに、「著作者は著作者人格権に基づく権利行使をしない。」という特約も入れた契約をすることも効果的です。著作者人格権は一身専属性の権利であり契約によっても譲渡されない権利であるためです。

Q26.

当社の新事業のことが新聞に掲載されました。事実の報道ですので、記事には著作権がないと思いますので、この記事をコピーして、営業や人事(採用)で活用したいと思います。問題ないですね?

A.

著作権法第10条第2項では、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に該当しないとあります。しかしながら、これは訃報や人事異動などの限られたものを指すものと理解されています。記事については著作権法により保護されているものとして扱い、その新聞社に連絡して利用の許諾を得ることが重要です

Q27.

フランス語の「原作」を日本語に翻訳した「小説」を出版したい場合、「原作者」と「翻訳者」のどちらの了解を得ればよいのでしょうか?

A.

両方から得る必要があります。日本語訳版の小説(原作の「二次的著作物」)の著作者は「翻訳者」ですので、当然「翻訳者」の了解を得なければなりません。また「原作者」は、自分の著作物をもとに作られた二次的著作物を第三者が利用することについて、翻訳者と同じ権利を持ちますので、「原作者」の了解も必要となります。翻訳されたもの、脚色されたものと思われるもの、映画化されたものなどを利用する際には、「原作があるのではないか」「原作者は誰か」といったことに十分注意する必要があります。

Q28.

私がデザインしたキャラクターのイラストを、私に無断でホームページに掲載している人がいます。連絡をとると「私的な目的での利用だから構わないのでは」とおっしゃるのですが・・・

A.

キャラクターのイラストをデザインしたあなたにはもちろん「著作権」があり保護されます。またホームページは不特定多数の人が閲覧できるものですので、著作物を例外的に無断利用できるとされている「私的私用」の範囲を超えています。先方に「著作権者である私から使用許諾を得てから使用して下さい」と堂々と主張しましょう。使用の停止を求めることもできます。

Q29.

コンピュータ・プログラムやデータベースは著作物として保護されますか?

A.

保護されます。著作権法第10条第1項第9号は著作物としてプログラムをあげています。ただし、プログラムを表現する手段であるプログラム言語やプログラム言語の用法についての特別の約束としての規約、指令の組み合わせの方法である解法には保護は及びません。また、データベースの著作物も「情報の選択又は体系的な構成」によって創作性を持つものは保護されます。ただしこの場合に、そのデータベースがいくつもの著作物からなるときは、個々の著作物の権利は消滅しないことに注意する必要があります。それぞれ、コンピュータ・プログラムは昭和60年、データベースは昭和61年の法改正で明文化されました。

Q30.

題名、標語、キャッチフレーズなどは著作物として保護されますか?

A.

原則的には保護されないでしょう。著作権法は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」著作物を保護する法律です。これらのものは単に言葉を羅列して組み合わせたものにすぎないため、この定義には当てはまるほどの創作性を持っているとはいいがたいでしょう。しかし、短くても中には俳句などと同じように保護に値する場合もあります。ケースバイケースと言うことになります。

Q31.

「私的な使用」にあたる場合には、著作者の許諾なしに複製できるときいています。インターネットで配信されている音楽をダウンロードして私的に聞くだけなら、著作者の許諾はいらないということでよろしいですね?

A.

インターネットで合法的に配信されている音楽をダウンロード(複製)して私的に楽しむのであれば「私的な使用」にあたり、著作者の許諾がいらないことは、ご指摘の通りです。
しかしながら、違法な音楽配信サイトやファイル交換ソフト等により違法に配信されている音楽や映像作品のダウンロードは、「私的な使用」には該当しません。つまりダウンロードそのものが違法となり、刑事罰の対象にもなりますので、お気をつけください。

Q32.

同じ楽曲のレコード・CDの価格に差があることで、問題が生じないのですか?

A.

同じ楽曲のレコード・CDが安く買えるなら、消費者にとっては歓迎すべきことかも知れません。
しかし、逆輸入されたレコード・CDが安く販売されることにより、本来売れるべき国内盤が売れなくなり、作詞家や作曲家、歌手・レコード会社などの経済的利益に大きな影響を与える事態が生じています。

Q33.

国内盤より安く販売されている輸入盤で、日本人アーティスト・グループの音楽CD・レコードを見かけますが、なぜ同じレコード・CDなのに価格の差があるのですか?

A.

アジア諸国において、日本の音楽に対する人気は年々高まってきています。これらの国々では日本のレコード会社などからライセンスを受けてレコード・CDを製作しているのですが、この海外において製作されたレコード・CDが日本へ逆輸入(還流)され、安く販売されているのです。

※環流防止のための規制
以下の5つの要件をすべて満たしているときには、著作権者(作詞家・作曲家・レコード製作者・歌手等)は還流防止措置を講じることができる。

  1. 国内で先又は同時に発行されている音楽レコードと同一の音楽レコードであって、国内での頒布を禁止しているもの
  2. 上記要件1.の事実を知りながら輸入する行為等であること
  3. 国内で頒布する目的での輸入等であること
  4. 還流により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されること
  5. 国内で最初に発行されてから4年を経過していないこと

Q34.

ショッピングモールの管理運営をしていますが、正規に購入したCDを使って、モール内で音楽を流そうと思います。海賊版を使うものではないため、著作権者の許諾はいりませんね?

A.

著作物の保護期間がきれていないときは著作権者の演奏権(財産権としての著作権の支分権のひとつ)との関係で許諾が必要です。著作権者とは作詞家・作曲家・編曲者及びそれらの人から権利の譲渡を受けた者をいいます。

なお、FM放送から録音し、適宜ピックアップしたものを録音媒体に固定して、それを店内で流すような場合には、著作者の複製権、実演家の録音権、レコード製作者の複製権、放送事業者の複製権との関係で権利処理が必要となります。

Q35.

著作物を創作すると、文化庁に登録しなければ著作権を取得できないのですか?

A.

著作物を創作した段階で著作者には著作権が自動的に付与されます。権利を取得するために登録する必要はありません。
ただし、著作権登録制度は、その目的とは別の理由で設けられています。詳細はQ14をご参照ください。

Q36.

ホームページや写真などの下に丸の中に(C)の表示と名前、年号がよく書いてありますがあれは何ですか?

A.

「©」のマーク(俗称「マルシーマーク」)はCopyright(著作権)のことをいいます。たいていはその著作物の権利者と創作年が続けて書かれています。日本では特に書いていなくても著作権があることには何の変わりもありません。日本国内では、慣行として使用されています。(法的な表示義務はありません。)

Q37.

学園祭で演劇や音楽の演奏を行なうときに、著作権の侵害になりますか?

A.

演劇、演奏が非営利で行なわれ、観客から料金を受けず、演劇者、演奏者に報酬が支払われなければ著作権者の許諾はいりません。

Q38.

「著作物」とは何ですか?

A.

著作権法で保護される「著作物」とは、「思想、感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます。「創作的に表現したもの」であるので、たとえば他人のアニメや俳句を単に書き写したもの等は含まれません。それらは複製物といい、著作物とは区別しています。そこで「思想、感情を創作的に表現したもの」であれば、たとえ子どもが書いた絵、作文、彫刻であっても、上手下手は関係なく著作物ということができます。
著作物を創作した著作者には著作権が発生します。著作権を保有する人に無断で著作物を利用することはできません。